しばらく女子では使い手がほとんどいなかったのが「一人時間差」

アタックのタイミングをずらすフェイクの動きを一瞬行い、相手がつられた隙に再度ジャンプして敵のブロックをかわす特殊技能のようなスパイク。

相手ブロッカーのブロックタイミングをずらすために、ちょっと飛びあがるふりをしてから再度飛び上がってクイックスパイクを打つ。最初の「ふり」にブロッカーが騙されてブロックに跳び上がってくれればスパイカーの勝ち、落ちかけたブロックの上からクイックスパイクを打つ。

この技を開発したのは全日本男子の森田淳悟選手。
当時“世界一のセッター”と言われた猫田勝敏選手らとともに男子バレーの黄金期を築き、日体大3年時に出場。

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1968年メキシコ五輪で銀メダル、4年後のミュンヘン五輪では全日本男子では初で、唯一となる金メダルを獲得した。また、当時の松平康隆監督の下、厳しいレシーブ練習を繰り返し重ねるなど、長身選手にとっては苦手とされるプレーについても技術に磨きをかけ、2003年にはバレーボール殿堂入りを果たしている。

このしばらく誰も使い手がいなかった一人時間差を武器に昨季Vプレミアリーグで暴れまくったのが、大野果奈選手。速いジャンプフローターと一人時間差をマスターし、NECの躍進に貢献した。

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この技は仮に失敗しても「あるぞ」と意識させるだけで効果十分。仮に2点しか取れなくても、相手チームにしてみれば「あいつが前衛来ると何が飛び出すかわからない」と意識付けさせるのでプレッシャーを掛けられる。そういう意味では数字以上の効果があるし、一たび決まり始めると、慣れるまでに試合が終わってしまうなどということもある。

この技を引っ提げて全日本復帰を果たした大野選手だったが、残念ながら手術に踏み切り、今季の全日本の活動は断念となった。その分しっかり治して、全日本の秘密兵器として活躍することを待ち望むばかりだ。

また、近年、女子バレーのミドルブロッカーの中で得意技となりつつあるブロード。
男子バレーではフィジカル的な理由により使い手がいないが、外国の女子バレーのミドルブロッカーが放つブロードは、まるでバスケットボールのダンクシュートを彷彿させる。

クイックスパイクの場合、オープンスパイクのように助走のコースやジャンプ位置、スイングの違いでコースを打ち分けることが難しいため、ジャンプした空中でスパイクを打つ際に体の方向を回すことで、打つ方向を変えて、ブロックを抜いていく。

これをターン打ちという。

この使い手で印象深いのが、そう、ユメさんこと山口舞選手。

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ユメさんと言えば、空中でワンテンポ静止してからクロス側に打ち抜くブロード。
一瞬「あっ」と思っても、思った時は時すでに遅し、クロス側に打ち抜かれる。
そうかと思うとストレート側に打ってきたり、ポトリとフェイントを落とすあたりは名人芸。

今年全日本にサイドとミドルの兼用として招集された石井里沙選手、そしてブロードが得意の島村選手、奥村選手には、山口舞選手の名人芸を是非引き継いで貰いたい。