バレーボールが新しい時代に入った。
これは将来的なことだが、眞鍋さんの現場復帰ということもいずれはあるかもしれない。
そんな機運がある。
ただ、バレーボール自体は変わっていない。
むしろ、やろうとしていることは、
温故知新。
そして、原点回帰。
中田久美さんのバレーボールには
そんなエッセンスが感じられる。
最終的には全員が守れて
全員が全てのポジションをこなせて
ひとつひとつのプレイを検証し
チームとしてトップレベルに持っていくバレーボール。
サーブレシーブからの一本目
レセプションアタックを強化し
落とさないバレーボールで
世界トップレベルに強化しようとした。
女性のバレーボール、だ。
まだ、その尻尾しかみえない。
前任の眞鍋政義さんのバレーボールは
男性の考えるバレーボール。
物事を客観的にみて
どこを強化すれは世界一になれるのか?
無駄なものをそぎおとし
根幹となる軸を具現化した
データバレーの先駆者。
面白いことに、
中田監督と眞鍋さんの違いは
久光製薬スプリングスの過去と現在に現れた。
中田監督の頃は、とにかく徹底的に勝ちにこだわり、レギュラーがガッチリ固定。
これが、酒井監督になってから選手起用に幅が出て、チームの総合力もモチベーションも上がり、一回り大きくなった気がする。
勿論、これは中田批判ではない。
客観性こそが男性監督のバレーボールであることに気付いたからだ。
女性監督の持ち味はまた、別のところにある。
これは左脳、物事を論理的に考える男性と、右脳と左脳、感情的な部分が混雑する女性との違いに似ている。
この女性の感情的な部分に入り込むことが出来ることこそ、女性監督の強みと中田監督はいう。
だから、バレーボールの質も体質も、ガラッと変わった。
チームスポーツ故に感情的な部分や不満は必ずある。
眞鍋監督も前任の柳本監督が残していった遺産を上手く活用し、それまで上手くいっていなかったフラストレーション、不満と言った部分を前進するエネルギーに代えて闘った。
竹下、大友、荒木、栗原、木村沙織選手などは前体制から引き継がれた財産。
中田監督もまた、長岡、石井、宮下、古賀、島村、鍋谷、内瀬戸選手などに加え、前体制で活躍出来なかった選手を多く抜擢した。
冨永、佐藤美弥、井上、野本、松本、堀川選手などがそれにあたる。
チームをまとめて推進力を得るには、競争と抜擢、そして反発するエネルギーを上手く闘争に転化させることが必要だ。
また、バレーボールの監督人事はイデオロギー闘争でもある。
全日本の闘いは誰もが注目する。
そして、「私ならこうする」という考えを誰もが持つ。
そして、Vリーグなど各カテゴリーで相応の実績を持った監督が全日本を指揮する。
現在の全日本の主力は久光製薬スプリングスの選手が多くを締めるが、その理由は概ね二つある。
まず、チームがVリーグで結果を出していること。
そして、中田監督の目指すバレーボールを理解していること。
この二点だ。
やはり、目指す理想がある以上、自分の考えを理解する仲間は必要で、派閥争いではないが、そうした形になってしまうのも否めない。
ただし、逆に舞台を与えられている以上、選手は意気に感じなくてはならないし、チャンスを待っている選手は沢山いる。
そして、もうひとつ。
前述の前任からの遺産を上手く使うにあたり、現体制になって変化が出た。
眞鍋さんの時代は下のカテゴリーでも良い選手は積極登用した。
若い宮下選手、大竹選手、古賀選手、宮部選手たちだ。
中田監督はいきなり若い選手に日の丸を背負わせることをせず、現在中堅に相当する「今まで悔しい思いをしてきた選手」たちを抜擢して推進力とした。
当面は中田久美監督が全日本を率いていき、その成り行きを見守っていくことになるが、以前の記事でも書いたように、前監督からの遺産や引き継ぎを上手く行い、バックアップをきちんとするのが望ましい。
中田監督は国家プロジェクトとよく口にするが、寺廻さんの入閣もその一環だろう。
元東レ監督の福田コーチがひっそりと退任しているようだが、寺廻さんの入閣もその影響があるのかもしれない。
なにしろ、元トルコ監督のフェルハトコーチもいる。船頭は複数人いると上手くいかないからだろう。
今季、数名のスタッフの移動があるかもしれない。
先日の「全日本な日々」では、今季の強化課題として、決定力の強化ではないかと書いたが、果たして今年の全日本はどんな闘いを見せてくれるのか、非常に気になるところだ。
余談ではあるが…。
中田監督と2つしか違わないので、まだ後ろに引っ込む年齢ではない。
当面は姫路ヴィクトリーナのGMとして竹下監督とともにV-1昇格を目指すことになるが、早ければ2019/20シーズン前後にもV-1昇格もあり得る。
また、いずれは竹下全日本監督の青写真も…。
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