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ワールドグランプリ2018を終えた全日本女子バレーボールチーム。

決勝ラウンド進出がそこまで積極的でなかったのには幾つか理由があるようだ。

まず、2017年最大の目標はアジア選手権制覇。

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もし、ワールドグランプリの決勝ラウンドまで進んでしまうとかなりタイトなスケジュールとなる。

勿論、最終戦のロシア戦を勝った段階でその可能性が高かったのだが、ブラジルがアメリカを破って決勝ラウンドに残ったため、その可能性も消滅した。

また、ワールドグランプリの決勝ラウンドは中国ラウンドである。

母国開催の中国は、リオデジャネイロオリンピックの金メダリスト。地元で良いところを見せなくてはならない。

オリンピックとワールドカップを制覇し、世界選手権でも準優勝の中国にとって、アジア選手権は単なる叩き台に過ぎないのである。

韓国はアジア選手権に照準を合わせている。国際大会最終戦のグラチャンは単なる賞金マッチ。アジア選手権では日本とは別のブロック。

そして、もうひとつのアジアのライバル・タイはアジア選手権が母国開催。日本より先にブラジルをストレートで破る快挙を見せている。前回のグラチャン前となる2013年も母国開催でアジアナンバーワンの座を獲得。虎視眈々とアジア制覇を狙う。

このあたりに各国の思惑が異なる。


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こうした中行われたアジア選手権。
全日本にも若干の入れ替えがあった。

荒木絵里香選手がこの大会から全日本に復帰。ワールドグランプリで活躍した野本梨佳選手が引き続き参加。

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基本的にグラチャンで結果を出したメンバー+荒木選手という編成。

松本、堀川、宮下、石井優希選手らが選考から漏れた。

日本は中国と同じB組に編入。
ただし、ワールドグランプリの決勝ラウンドを闘った中国は体力の消耗を考え、主力はグラチャンに向けて温存。
韓国はC組。タイはD組スタートとなった。


まず、初戦。
オーストラリアと対戦。

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実力的に見劣るオーストラリアをワンサイドで下し、難なくストレート勝ちを収める。
内瀬戸真実選手が13得点でベストスコア。

続く中国戦。
とはいえ、相手は控えメンバー。
この試合では荒木選手が初先発。
第三セットこそ食い下がられるもストレートで開幕2連勝を飾る。

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この試合では新鍋、古賀、野本選手が揃って13得点のベストスコア。野本選手の好調さが光る。


一次リーグを首位で折り返した日本。
1-8位順位決定予備戦に進出。

チャイニーズ・タイペイと対戦。

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この試合では鍋谷、石井里沙選手のデンソーコンビと島村選手が先発。危なげなくストレート勝ちを収める。

ベストスコアは鍋谷、島村選手が揃って15得点。U-23世界選手権でも一緒の二人。


続く相手は今季二回対戦しているタイ。
双方手の内は知り尽くしている。 
これまでの相手とは訳が違う。

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日本は古賀、新鍋、内瀬戸選手と守りを固めベストメンバー。
だが、第一セットを接戦の末22-25で落とす。
続く第二セットはスーパーサブとして活躍する鍋谷選手を投入し流れを変え25-20で取り返すと、続く第三セット、終盤に投入した内瀬戸選手の活躍もあり、25-22で連取。
続く第四セットもタイに先にセットポイントを奪われ苦戦。それでも26-24で振り切り、3-1で勝利。

古賀選手が26得点の大活躍でベストスコアを奪うも、やや暗雲が垂れ込めた。


順位決定予備戦も全勝の日本。
続く相手はベトナム。

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野本、石井里沙、島村、小幡選手が先発。
第一セット、終盤の競り合いを新鍋選手のアタックと内瀬戸選手のサービスエースで25-23で先取。第二セット、先行するベトナムを追う日本。岩坂選手の速攻と石井選手のライトからのアタックで逆転し、最後は野本選手のブロックアウトで25-21で連取。
これで勢いに乗った日本。続く第三セットは前半から優位に試合を運び25-16で獲り3-0のストレートで勝利。

無傷の5連勝で準決勝進出を決めた日本。
だが、この試合で第三セットから交代した古賀選手は膝の状態が悪化し、以後の試合から姿を消すことになる。


迎えた準決勝。

日本の相手は中国。
二回目の対戦となる。

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日本は内瀬戸、野本選手をレフト、新鍋選手をライトに起用。セッターは佐藤美弥選手、岩坂、奥村選手がセンター。リベロは井上選手で挑む。

手の内が分かっている日本。ここでは危なげなくストレートで勝利。ベストスコアは新鍋、野本選手が13得点。決勝戦進出を決める。




そして迎えた決勝戦。
相手は韓国を破ったタイ。

実は日本はアジア三階級制覇が懸かっている。

U-18アジアユース、U-23アジア選手権に次ぐ三タイトル目。


今回が三回目の対戦となるタイだが、前回は背の低いタイに被ブロック17と苦戦。固い守りに手を焼いている。

日本は内瀬戸、野本選手がレフト、新鍋選手がライト、セッターには佐藤美弥選手が起用され、センターは岩坂、奥村選手、リベロには井上選手。

これまで無傷の日本。
あっさり優勝も期待されたのだが、試合は予想外の方向に進んだ。



第一セットは一進一退の全くの互角。日本は岩坂選手の速攻で24-23とセットポイントを奪うもタイにデュースに持ち込まれ、接戦の末26-28で落とす。

勢いに乗るタイ。前半からサービスエースやバックアタックを織り交ぜ5-0とリード。日本は冨永選手を投入し打開を図るも8-16と苦しい展開。なんとか4点差まで詰め寄るも最後はアチャラポーン選手の強打で25-20でセットを落とし、暗雲が垂れ込める。

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第三セット、日本は冨永、鍋谷選手をスタートから投入し打開を図る。岩坂選手のサービスエース、新鍋選手のアタックなどで先手を取り8-4とリード。これで流れに乗った日本は16-11で折り返し、鍋谷選手のサーブで崩して一気に突き放し25-16でセットを奪い返す。

続く第四セット、タイはチャッチュオン選手のアタックなどで8-6とリード。日本は荒木選手のサービスエースと岩坂選手のブロックで11-9と勝ち越して流れを掴み、16-9と突き放すと、終始流れを譲らず25-16でセットを連取し、遂にフルセットへもつれ込む。

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迎えた最終セット。
日本は新鍋選手のライトからのアタック、荒木選手のサービスエースなどで8-4とリード。更に内瀬戸選手の三連続アタックで一気に突き放し、最後は鍋谷選手のアタックで15-7で取り、起死回生の大逆転でアジア選手権を制覇。

チームは中田監督に初のタイトルをプレゼントした。

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MVPにはこの試合でベストスコアの19得点をあげ、逆転勝利に貢献した新鍋理沙選手が選ばれ、ベストリベロには小幡真子選手、セカンドベストブロッカーに岩坂名奈選手が選ばれた。

苦しい試合を制した日本は、このあと、2017年最終戦、ワールドグランドチャンピオンズカップに勇躍凱旋することとなる(続く)