今でも語り草となっているロンドンオリンピック準々決勝・中国戦。

最終セットまで全て2点差という史上稀にみる大激戦。

木村沙織、江畑幸子選手のダブルエースが揃って33得点を叩き出した激戦に終止符を打ったのは、セッター・中道瞳選手。

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最終セット、16-16の同点でピンチサーバーに起用される。

最も緊張する場面で、中道選手はサーブで崩し、荒木選手がダイレクト。

マッチポイントを奪う。

そして、17-16。
運命の二打目。

中道選手の放ったサーブが相手レシーバーを崩し、返球はアウト。

この瞬間、全日本女子バレーボールチームは
史上初めて、オリンピックで中国を破り、準決勝へと駒を進めた。

中道選手は土壇場で大仕事をやり遂げた。


当時、中道選手の所属チームである東レアローズは黄金時代。

全日本にも荒木、木村、迫田選手を擁し、東レのレギュラーセッターである中道選手もまた、全日本からお声が掛かっていた。

当時の全日本と言えば、「世界最小・最強セッター」と謡われ、世界選手権でもMVPを獲得。

日本バレーボールのセッター・第一人者。

中道選手は控えに回らざるを得なかったが、木村、石田選手と並ぶサーブの名手。

たゆまぬ努力の成果が結実した。

チームはロンドンオリンピックで銅メダルを獲得。

2010年世界バレーに続くメダル獲得に沸き返り、国内にバレーボール熱が甦る。

中道選手はロンドンオリンピック後、持病のアキレス腱痛が再発。

第二期眞鍋ジャパンのメンバーに選ばれるも、当初、全日本の活動には参加していなかった。

体制一新の中にあって、数少ないロンドン経験者である中道選手は、チームメイトの迫田さおり選手とともにグラチャンにて全日本復帰。

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同大会で正セッターとして活躍。
チームは新戦術MB1を引っ提げ、メダル圏内で活躍。最終戦ブラジルに敗れるも、チームの銅メダル獲得に貢献する。

見事ベストセッターに輝き、全日本の正セッターとしての道を歩み始めたかに思えた中道選手。

翌年、全日本はハイブリッド6なる新戦術を投入。

ワールドグランプリでは連敗スタートながら途中から快進撃を続け、遂にファイナルにまで駒を進め、惜しくも銀メダル。

すわ、世界一への道が近くなったかに思えた。

ところが、続く世界選手権の開幕戦。
楽勝ムードにあったアゼルバイジャン戦でよもやの逆転、フルセット負けを喫し、雲行きが怪しくなる。

第一次ラウンドこそ通過したものの、第二次ラウンドではクロアチア、イタリアに敗れ、最終戦を待たずに二次ラウンド敗退。

最後のドミニカ共和国戦では、フルセットになりながら、チームメイトの迫田選手にボールを集め、勝利を手にする。

しかし、これが中道選手最後の全日本の晴れ姿となった。

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Vリーグ開幕後、中道選手は不調をきたし途中を欠場。中道選手は後半復帰するも、東レは停滞したまま、6位で終え、中道選手は現役を引退。

昨年、チーム事情で復帰するも、コートに立つことのないまま、再びユニフォームを脱いだ。

もし、リオに中道選手が駒を進めていたら、果たしてどうなっていたか、今でも惜しまれる。

ロンドンでの一斉一代の晴れ姿。
今でも名勝負とともに語り継がれる。