前回の記事で現体制になってからの勝ち負けと、その内訳について記載した。

前回は難易度のもっとも高いSクラスとそれに準ずるはAクラスの相手との対戦成績について触れた。
今回はその原因について、触れてみる。

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まず、2017年以降、フルメンバーで勝ったことのない国。

中国:6敗 
アメリカ:4敗

まず、ここが最大の関門。
中国は2014年以降、アメリカに至っては2011年以来一度もフルメンバーで勝っていない。
 
中国戦で印象的な二戦のうち、
2017年グラチャン。
今年のネーションズリーグ。

この二戦はともに内容的に拮抗している。

それも第一セット終盤。
シュ・ティ選手にねじ伏せられて負けている。

高さも打力もトップクラスで、世界的エースもいるアジア最強のライバル。
ミドルブロッカーのエン・シンゲツ選手もいる。
レフティだがレフトからもアタックをガンガン決めるリ・エイエイ選手もいる。

最低限、サーブで崩した後、二段トスなど乱れたレシーブで決められるのだけは避けたい。

日本はこの失点が一試合あたり5点削れると勝ち負けになる。

せっかくサーブで崩す、或いはレシーブが乱れても相手エースに打ち切られる。
この失点をなくしたい。

特に打倒中国にはシュ・ティ、エン・シンゲツ選手対策が重要となる。

サーブでガンガン崩すのは勿論、前述の通り二段トスでのアタックを決めさせず、ワンタッチを取りトランジションで得点する。

この徹底が必要。


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次なる難的はアメリカ。
これは個人的な意見だが、アメリカとは練習試合などを通じ、日本の手の内が読まれている気がする。

基本的にアメリカもデータバレー。
ディフェンス力もあり、バンチリードブロックシステムといい、欧米のチームの中では緻密さもある。

グラチャンではあわやの場面まで追い込みながら敗れ、昨年の世界選手権では1-3、今年も若手中心の同チームに敗れている。

対アメリカ戦に鍵があるとしたら、データにない想定外の攻撃や仕掛けをすること。

サーブで崩してブロックでワンタッチを取り、トランジションで決めるのは中国同様。
あとはブロックとサーブ。

特にこのトランジションでの切り替しにはアタッカーの精度の高さ、技量、もしくは効果的な人材起用が求められる。

パワーヒットも大事だが、上手さでは一枚上の古賀選手に期待が掛かる。
ただ、V-leagueでも決めきれない場面が多く、パワーという点ではやや物足りないのでここは今後の課題。

パワーヒットなら石井選手と黒後選手だが、現時点でのパワーヒットなら黒後選手。
石井選手は上手さが加わってきた。

この三名の成長がひとつ鍵を握る。


打倒中国とアメリカ。
この二つの成就が日本のメダル獲得の鍵となる。


あとは長岡選手。
今季は不在だが、いずれ復帰することを考えると、ライトの起用方法を今季ある程度固める必要がある。

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現在、ライトは新鍋選手と鍋谷選手が併用だが、まず二枚換え。

通常、ライトがS-1ローテに下がった時セッターをリリーフサーバーとして投入し、対角のライトにアタッカーを投入する。

ここでの工夫も欲しい。

男子ではS-4ローテでレフトポジションが苦手な西田選手に代わり大竹選手を投入し前を高くする起用が多い。

ロンドンオリンピックではライトの新鍋選手が前衛の時、狩野選手を二枚換えで投入していたが、欲を言えば高さのあるオポジットが一枚欲しい。

また、長岡選手がライト出場の場合、サーブレシーブが免除となるので、その分両レフトの負担が増える。

現在、古賀、石井、黒後選手のレフトエース三枚が主力だが、長岡選手抜きで考えると、この三枚が同時コートインが攻撃枚数的には一番強い。

誰かがライトに回る。

今年の全日本男子の好調の秘訣に石川選手がライトにローテが回ってからもアタックを決めていたことが要因のひとつ。

問題はサーブレシーブ。
古賀、石井、黒後選手の三名でサーブレシーブを回せれば問題は解消する。
特に黒後選手の成長が大きな鍵を握るだろう。


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このあたりまでは誰もが考えることだろうが、あとは人材起用。

例えば長内選手。
彼女は所属する日立リヴァーレではレフトのエース。だがネーションズリーグではライト起用もあった。

高さはないが、速いテンポのバレーに慣れており、パスヒッターなのでライトでも起用出来ると面白い。

サーブレシーブに磨きを掛けて、持ち前のジャンプサーブの威力が増してビッグサーバーとして成長すると楽しみ。

もし、ミドルとライトの兼用選手でもいると面白いのだが、正直、これだけではまだ足りない。

今年で結果が出ない場合、中心選手を除くかなりの入れ替えを強いられることも視野にいれないといけない(続く)