ワールドカップ男子は遂に後半ラスト3戦を迎える。

この時点で6勝2敗と近年では最高の成績を収め、現在4位。メダルが手に届く圏内である。

よしんばこのあと全敗であったとしても既に6勝しているので勝ち越しは決定。男子はここでも女子と肩を並べ、いや立場を逆転させてしまった。 

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日本国内における男女逆転は、この十数年見たことがない。

女子は今年、終盤の三連勝で辛うじて勝ち越し、5位と何とか面目を保ったが、男子がもしメダルを獲得すれば1977年以来のことなので、実に42年ぶりの快挙となる。

日本はこのあと、イラン、ブラジル、カナダと強敵相手に三連戦を行う。

まずは強敵のイラン。ここに勝てると現実的にメダルの可能性が開ける。


対する勝敗同点、1ポイント差で追うアメリカの対戦日程はオーストラリア、ロシア、エジプトである。

もしアメリカが敗れるとしたらロシア。
日本がイランを破ったとしてもブラジル。

ここからが目が離せない。


さて、本日から女子のV-leagueが開幕する。

来季の全日本に向けてのふるい落としは一足早く始まる。

今年のワールドカップでミドルブロッカーの序列がやや決した感がある。

それまで中心とされた荒木絵里香選手がもうひとつ。後半は奥村麻依選手と芥川愛加選手の元・現JTマーヴェラスコンビが日本の窮地を救った。

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奥村選手はブロックと攻撃で、芥川選手は特に攻撃面で全日本の窮地を救った。

二人は合格点だろう。

正直、岩坂名奈選手をこのまま全日本キャプテンとして引っ張るのは難しくなった。

リーグでは相応の成績を収め三年間チャンスを与えられるも、選手としてまるで目立っていない。
それに中田監督のリーダーがいない発言からも、そろそろ限界と言わざるを得ない。

東京オリンピックは12名、余分はない。

正直、リーダーがいないはおかしい。
荒木選手も元全日本キャプテン。

小幡選手のように強いキャプテンシーを持つ選手もいる。

ほとんどがチームに戻ればキャプテンで、石井、鍋谷、佐藤選手など現役キャプテンも多くいる。

決断の時である。


前述の選手以外にも候補はたくさんいる。

今年怪我で全日本への参加がなかった島村春世選手は再考の余地がある。

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現体制になってもワールドカップ2017でミドル最高の20得点越えを達成している。スピードあるブロードは魅力的でオリンピアでもある。


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同じチームの山田二千華選手。
昨年は世界ジュニア選手権、アジア選手権優勝と世界の舞台で着実にステップアップしており、足りないのはリーグでの実績だけ。

入澤まい選手。
日本人最高身長の187cmの長身と落差の大きなサーブが武器。攻撃力やスピード、ディフェンス面で課題はあるが、潜在能力はピカイチ。

また、世界ジュニア選手権で活躍した平山詩嫣選手。
こちらはルーキー。久光なのですぐに出番が来ることが難しいが、ライトと絡めての攻撃は魅力。
なるべく早く出番を与えて貰いたい。


今年全日本に選ばれた渡邊彩選手を含めこれだけ候補が沢山いる。
また、それも氷山の一角で、今季のリーグ次第。

東京オリンピックのミドルは恐らく3名が定員。

順調に行けば奥村、芥川選手は行けそうだが、あと一人空きがある。

こちらも熾烈になりそう。


ついでに…。

前述の平山詩嫣選手だが、正直、新人を積極起用してこなかった久光では今年出番は少ないだろう。

中田監督時代から初年度は下積み、チャンスがあっても二年目以降から。それも怪我などで欠員が出来ない限りレギュラーは変えないという方針の名残があり、酒井監督になってそれも緩和されてきた。

苦言を呈すと久光は結果優先のため、完成された選手が多いレギュラー陣を使わざるを得ず、選手層が厚いため、この壁を破れず涙を呑む選手も少なくない。

それを承知の上で入団しているのだからやむを得ないが、実際は上がつかえていて世代交代があまり進んでいない。

思いきって選手をガラッと入れ換えてしまった東レとは対照的だ。勝っているとそれも中々しにくい

今のところ、順調であれば久光から来年の全日本に選ばれそうなのは石井優希選手と新鍋理沙選手の二名で、あとはどうなるかわからない。

土壇場ではあるが、これだけ結果が出ていない以上、来季は編成そのものを変える必要がある。


前回も書いたが、人選以上に手だての見直し、新たな戦術、それも具体的なものがないと、現実的にメダルは難しいだろう。

サーブ、サーブレシーブ、ディグ、ブロックを究極にまであげ、ミドルとパイプを強化するところまでは分かったが、男子と違って得点を期待出来るビッグサーバーも不在なら、このローテで確実に得点出来るエースもいない。

見比べると戦術的には男子と良く似ているところがあるが、長岡選手と黒後選手が加わってもそれで一変という訳にはいかない。

今のまま行っても勝てる気配を感じない。
少なくともライト側でコンビを絡める選手。それもミドルの動きが出来るライトがいないと戦術的な幅が出てこない。

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今の全日本にはそれがない。
片足を打てるライトは山内美咲選手や窪田美侑選手、荒谷栞選手、曽我啓菜選手たちがいる。
小柄だが三人ともサーブレシーブをこなせる上に山内選手の身体能力は全日本級。

このライトとミドルのコンビネーションは全日本が遅れを取っている。ブロードは女子の技で男子にはない。ここは再考のしどころ。

勿論、それだけでもまだ、足りないのだが…(続く)