ようやく新型コロナウイルスの影響により県外への移動自粛が解除となる。

V-leagueの各チームの練習が再開されたが、サマーリーグ、東西インカレ、インターハイ、全中、国体のなど夏の主要大会が中止を発表され先行き不透明な中ではある。

そんな中、5月27日から味の素トレセンが開放され、全日本男子は活動を再開している。女子はスケジュール調整中だそうだが、恐らく近日中に再開するだろう。

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となれば、これは全日本女子には追い風だ。
何しろ、V-leagueの開幕まで他の主要大会が何もない。その期間を丸々全日本に充てられるからだ。

さて、この記事を書くにあたり、Volleyball channelの中田監督のインタビューを参考にさせて頂いた。

印象的だったのは、セカンドセッターの話とオポシットについて。

メインセッターの話が出なかったのは謎だが、セカンドセッターについて

サーブが良くて、ディグが良くて、どのポジションでもこなせるぐらいの守備力

"まんま、宮下遥選手ではないか"と。

サーブとディグ、特にディグのすばらしさは群を抜いており、全日本最長身セッターにしてブロックよし。

ツーセッター経験者にして元アタッカー。
条件を全て満たすのは宮下選手しかいない。

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オポシットについては賛成だ。
スーパーエース型と攻守兼備・機動力型。
更にはサウスポーが好ましい。

昨年から黒後愛選手が東レアローズでオポシットに入っている。元々レフトエースだが、打力を活かす上でこの編成。
石井選手も石川選手も古賀選手もライトを溺なぬないが、基本型は古賀、石井、黒後選手の三人コート同時インが一番攻守のバランスが良い。
サーブレシーブが崩壊しなければの話だが…。

新鍋理沙選手の突然の引退でライトが空いてしまった。サーブレシーブも含め、ライトの育成が急務となる。

不安は大きいが…。


サウスポーと言えば候補は二名。
まず、故障で今季全日本から外れた長岡望悠選手。
数々の大舞台を経験した攻撃力は捨てがたい。

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また、今季全日本に呼ばれていないが、機動力込みで渡邊真恵選手。特にサウスポーを利したミドルを絡めての時間差攻撃などの高速コンビはかなり手強く、課題は世界的に通じるかの一点のみ。

岡山シーガルズ準優勝の躍進は彼女の存在なくしては実現しなかった逸材。一度全日本で観てみたい。

また、最近良く聞かれる"ワンフレームバレー"だが、世間にはイマイチ浸透していないし、あまりピンとこない。

低くて速いパス回しからの高速バレーということだが、要は緩急織り混ぜて、状況に応じ変化させる、ということらしい。

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以上を踏まえ、今の全日本が目指している方向性を一言で表すと"変幻自在の超高速コンビ"

ということとなる。




速い話、多彩で速い攻撃と頑強な守備力を誇るタイに高さとパワーを加えたコンビバレーというのが、理想形らしい。

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実際、国際大会でタイは世界の列強とかなり良い線まで闘うのだが、最後は高さと力でねじ伏せられて涙を呑むケースが多いのもまた、事実。

元々、タイは前監督のキャテポン氏が現役時代、元全日本の柳本監督の教え子だったこともあり、日本のバレーに最も近い。

言うなれば、タイは日本の分身というべき存在なのだが、違うことがあるとすれば、タイはプルームジット、ヌットサラ選手に代表されるように、何年も代表として経験を積み、築き上げてきた職人芸。

4年周期で体制が変わる日本が同じことをしようとしても時間が足りない懸念がある。


それはさておき

ただ、それだけでは勝てないだろう。
やろうとしていることはなんとなく分かるとしても、もうひとつ具体性がない。

そう、それもこうすれば勝てるという明確な指針と結果が伴っていない。

何か隠しているのかもしれないと思いつつ、はや4年目だ。昨年のワールドカップも崖っぷちだったように、今の全日本はまさに背水の陣だ。

だから、相原コーチを呼んだのだろう。
東龍といえば超高速コンビ、そして何よりも世界ジュニアやアジア選手権でも結果を出し、何よりも今の全日本で沢山教え子がいる。

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何よりも、勝つためならなんでも投入する、ということだろう。もはや手段を選んでいる場合ではないのだから。


今年は恐らく合宿と練習試合程度で終わるだろうが、V-leagueの結果次第でシャッフルもあろう。

恐らく、求められるのは…。

ある程度の水準を保持しつつ、"特技を持ったスペシャリスト"
ということになろう。





余談ではあるが…。

高校生の晴れの舞台であるインターハイや国体がないのであれば、来年の全日本やアンダーカテゴリーの人選を兼ねて、高校生選抜vs全日本シニアの練習試合でもやればいい。

双方のレベルアップにかなり役に立つ筈。

何よりも行き場をなくした高校生たちの相手が全日本シニアなら不足はないだろうし、ユースやアンダーカテゴリー、V-leagueの選考を兼ねているならやる気も出るだろう。

それで全日本の新星でも現れるのなら一石二鳥だが…。