まだ全日本女子の合宿は続いており、その合間を縫って選手へのリモート囲み取材が行われた。

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・石川真佑選手へのインタビュー

~延期について~

「自分としては正直、もっと成長できる時間が増えたなと思いました。その時間をどう過ごすかを意識するようになった」


~今後強化に取り組みたいことは~

「ディフェンス面、オフェンス面両方であるが、特にディフェンス面でサーブレシーブとディグをもっと安定してミスなくとれるようにしたい」


~兄の石川祐希選手について~

「海外でプレーしていることはすごいと思います。負けてはいられない」
 

~海外でプレーすることについて~

「今のところは考えていない」



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・長岡望悠選手へのインタビュー


~膝の状態について~

「今でも左膝は痛むし、怖さはある」


~ 東京オリンピックの延期が決まったときの心境について~

「応援者の気持ちでした。自分の体のことも、コロナの状況も今後どうなるものかまったくわからないので、先についての事は言えない。今は純粋にバレーボールができて嬉しいと思う。今後どうなるか(自身の体のコンディションもコロナの状況も)まったくわからない」


~紅白戦で得点をとったときの心境は~

「今取り組んでいるフォームの今の体に合ったフォームというのが、そういう試合に近い状況でどれだけ自分がコートの中でそれがプレーできるのかというのがあったので、しっかりいい形でというか良い判断もできたし、体の整え方も悪くはなかったなと思いました」


~新鍋理沙選手の引退について~

「理沙さんと一緒にプレーしていた時間は長かったので、その中で頑張り合っていたときは、本当にコートの中で信頼していましたと伝えた。いろいろ姿を見て、学ばせてもらったことはたくさんあるので、自分残りのバレー人生に活かしていきたいと伝えた。理沙さんからは、一緒にプレーしていたときに、すごく大事なところで、チームを助けてくれる存在ですごく心強かったということと、怪我とかリハビリもすごく大変だと思うけど、応援してるからねと言ってもらいました」。  


今の状態は「まだ5割」とのこと。
まだまだ様子見といったところ。



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・黒後愛選手へのインタビュー


~新鍋理沙選手の引退について~

「理沙さんの大事な1本目を正確に、丁寧に上げるプレーを見てきたので、自分もそういうプレーができるようになりたいと感じている」


~パスヒッターとオポジットの両方を経験したが~

「サーブレシーブに入る時は1本目のパスを高めにして攻撃に入るというイメージを持って取り組んでいる。(攻撃まで)いい準備をするように心がけている」

スパイク面では後輩で東レのチームメイトでもある石川真佑選手のプレーを参考にし、トスが上がってから打つまでの速さや被ブロックの少なさなどを見習いたいとのこと。


~自分の長所について~

「相手を吹き飛ばすようなパワースパイクは負けないようにしたい」


~オリンピックの延期について~

「正直、絶望は感じなかった。あと1年は課題をひとつずつクリアしていく時間にしたい。今はオリンピックはあるということしか考えていない」


~将来の夢は~

「オリンピックでメダルをとること」



主に新鍋理沙選手の引退と東京オリンピックの延期について、現在取り組んでいることについて質問が集中したが、それぞれの立場の違いから解釈の違いで出ていて興味深い。

尚、全日本女子の合宿は明日9日で終える。


今年の全日本の活動が終焉に向かう中、日本バレーボール協会は3日、理事会を開き、20年度補正予算案を承認した。 コロナの影響で大会の入場料収入が見込めないことや協賛金の減額で、赤字が約5億2600万円に拡大する見通し。 

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これまで日本バレーボール協会は再三赤字を伝えられてきており、近年で黒字だったのはでNEXT4や石柳こと石川、柳田選手がワールドカップでブレイクした2015年ぐらいしか記憶にない。

これだけ赤字が続いているにも関わらず運営が成り立っている日本バレーボール協会は公益財団法人であるが、この公益財団法人とはそもそも何か?



■公益財団法人とは?

・一般財団法人のうちで、公益法人認定法にもとづき行政庁から公益性を認められた財団法人を指す。

・公益を目的とした事業は非課税になるなど税制上の優遇措置をうけることが可能になる。 

・公益目的の事業として認められているのは「学術、技芸、慈善その他の公益に関する事業であって 不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう」と規定される。


■メリット  

・行政庁より認定を受けているため「公益財団法人」という名称を 独占的に使用することが可能。 そのため、非常に厳しい審査を通過した証になるため公共性の高い法人として 社会的な信頼を得ることに繋がる。 

公益目的の事業に関しては原則非課税になり、さらには、 公益財団法人に対し寄付を行う個人や法人は税制上の優遇措置を受けることが 可能なため、法人への寄付金も集まりやすくなる。 


公益のため法律によって設立が認められ非営利の公益事業を行う団体(法人)であり、金儲け事業を行うのではないため、組織の永続のためには公金の助成・補助が行われる。つまり、公益法人の職員の給料は公金によって確保されており、ノルマがないので倒産や破産の心配がない。


公益財団法人へのステップ

まず一般財団法人を設立し、次に行政庁に公益認定の申請を行なう必要がある。 申請を受けると行政庁は、18の公益認定基準に照らし合わせ、その法人が公益財団法人に 相応しいか、民間有識者から構成される委員会への諮問を行い審議され、通過すると、公益財団法人として認定される事になる。



ここまでお読み頂ければ、解散しない限り日本バレーボール協会が破産する可能性は原則ないと言うことはご理解されている筈である。かの有明アリーナが莫大な散財となっても、基本は痛し痒しである。

ただし、一般的に収入支出を公開している以上、非常識な負債・借金は経営者の能力を問われ、成績不振などの理由により赤字が続いた場合、翌年以降の公金の振り分けにも影響を及ぼす。


とまあ、こんな具合。
今年は特に新型コロナの影響により他のスポーツ競技の大元である公益財団法人も概ね赤字となっているとは思うが、経営者の手腕が問われるのは、予定されている来年度の東京オリンピックとそれ以降のお話。
 
これまで日本バレーボール協会は、世界四大大会をお金で買ってきたり、FIVBへ莫大な放映権料を支払うことで日本が有利となるようにしてきている。

ここまではバブル期のF1と同じである。


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しかし、世界情勢が著しく変化し、中国が日本ととって変わった現在においては、資金力の低下はイコール、それまでの優遇措置がなくなることを意味し、次回の世界選手権はオランダとポーランドの共同開催となる。
ワールドカップとグラチャンは日本の恒久開催となってはいるものの、前回のグラチャンに至っては単なる賞金マッチに格下げされ、ワールドカップは東京オリンピックの開催国である日本で行われること、並びに東京オリンピックの出場権を保持する日本が出場する矛盾からオリンピックの出場権の付与が剥奪されている。
そのため、昨年のワールドカップは従来と比べ価値の低い大会であり、主力を温存する国も少なからずあったことは事実である。

以上を踏まえると、昨年のワールドカップが各国フルメンバーでこられた場合、男子の快進撃にも少なからず影響が出ていた筈であり、女子の成績は更に悪化していた可能性は否定出来ない。

これらの事実を踏まえると、来年以降の日本バレーを取り巻く状況はお世辞にも楽観出来ない。

ただ、救いがあるとしたら…。 

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前述の事情を踏まえても、男子の充実ぶりは近年まれに見るものであり、更なる伸び代が期待される。特に北京オリンピック以来、出場のなかった男子は存在感をアピールする絶好のチャンスであり、同大会の活躍次第では、人気・実力ともに女子を上回る可能性がある。


女子の場合、アンダーカテゴリーが強いこと。

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次世代の有力選手を多数抱える状況をいち早く味方に付けることが急務であり、パリオリンピックに向けての体制作りも意識しなければならない。


日本代表への最終関門のバトンはV-leagueへ託された。

まずは来年に向けて仕切り直し
そして、ラストアピールと巻き返しへ。

これから日本のバレーボール界がどう動いていくのか、今はまだ、誰も知らない。