さすがは高校バレー界・伝説のエース。
ここまでやれるのか?

2017年シーズン。
目を見張るほどの活躍ぶり。
どうしてスタートから起用しないのか、不思議なぐらい。

その理由も良くわかる。

いざという時の切り札として、手元に残しておきたい。

サーブよし、アタックよし。
リザーブアタッカーとして勿体無いほどの活躍を見せるのは鍋谷友理枝選手。

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言わずとしれた、東龍こと東九州龍谷高校の黄金時代を築く春高三連覇へと導いた伝説のアタッカー。

長岡望悠選手が三年生の時の一年生。
その時、既にレギュラーを獲得している。

チームメイト・大竹里歩選手とは幼馴染。
二人は下北沢成徳、東龍のキャプテンとして対峙。結果は鍋谷選手率いる東龍に軍配。

そして、二人はデンソーエアリービーズで再びチームメイトとなる。



だが、神は両者揃っての運を与えない。
大竹選手が抜け出せば、鍋谷選手は追う立場。
鍋谷選手が抜け出すと、今度は大竹選手が追う立場。

そんな鍋谷選手の全日本デビューは2012年。
アジアカップで代表デビューを飾ると、翌2013年も大竹選手とともに全日本に招集される。

しかし、先に抜け出したのは大竹選手。
当時19歳。
鍋谷選手はU-23世界選手権で銅メダル獲得に貢献。

その時のメンバー12名のうち、10名が全日本シニアに駒を進めた。

その中から、今年、古賀紗理那選手と島村春世選手、高橋沙織選手が一緒。

あれから4年が経ったが、鍋谷選手は2015年、全日本に定着するきっかけを掴んだ。

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スタメン人生だった彼女にとって、ピンチサーバー主体の経験は大きな転機となった。

「鍋谷がいると点が入る」

ラッキーガール的な存在だった彼女はワールドグランプリで全日本定着のチャンスを掴み、眞鍋政義監督も「世界で通用する」と太鼓判。

その成果はワールドカップでも現れる。

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印象的だったのは最終戦となった中国戦。
第二セット終盤、ピンチサーバーとして入った鍋谷選手のサーブをきっかけに6連続得点を奪い逆転でセットを奪った。

試合には敗れたものの、この2015年シーズンをきっかけに鍋谷選手は全日本に定着する。

OQTでも良いところを見せた鍋谷選手。
韓国戦で小指を脱臼した木村沙織選手に代わり第三セットスタートから出場。長岡望悠選手、石井優希選手らとともに奮闘。試合には敗れたものの第三セットを奪い返しトータル8得点、意地を見せた。

そして、最終戦のオランダ戦で先発出場。全セットフル出場し、11得点を上げ合格点を上げる。

これにより鍋谷選手は僅か12名のオリンピアとして狭き門を掻い潜る。

リオデジャネイロオリンピックは、終始苦しい闘いの連続だった。

開幕戦の韓国戦。
第一セットこそ先制するも、韓国の速いサーブに蹂躙され黒星スタート。
続くカメルーン戦も第一セットこそ奪えども、翌第二セットは苦戦。代わったセッター田代選手のセットアップで息を吹き返した日本が勝利するも苦境は続く。
迎えた完全アウェーのブラジル戦。
鍋谷選手は第二セットスタートから起用されるとサービスエースを奪うなど8得点を上げて奮戦。

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だが、このオリンピックは韓国戦を落とした時点で全てが狂ったままだった。

結局、全日本はアルゼンチンを下して決勝ラウンドに駒を進めるも、準々決勝でアメリカに敗れ、鍋谷選手のオリンピックは幕を閉じた。

そこで立ち止まってはいられない。
チームに帰れば、やるべきことはたくさんある。

2015/16シーズンでチャレンジリーグⅠに降格となったデンソーの目標はプレミア復帰。
敵は同じくチャレンジ降格となったカルデロン選手を擁する上尾メディックスただひとつ。

ハイライトは上尾との最終決戦。
双方譲らぬままフルセットにもつれ込み、上尾が勝利する。
しかし、上尾との直接対決のうち、初戦と第三戦がフルセット。
第二戦のデンソーのストレート勝利が決め手となり、デンソーの優勝が決まった。

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また、鍋谷選手もサイドアタッカーながらアタック決定率7位に食い込み、シーズンの活躍により新生全日本へ駒を進めた。

そのあとの全日本での活躍はご存じの通り、推して知るべし、である。

まだ、新生全日本は次のアジア選手権が2戦目。
だが、ワールドグランプリでの活躍は、まさにアタッカー陣で1、2を争うもの。

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何が何でも点を取る、何が何でも拾ってやる。
そして、何とかして崩してやる、点を取ってやる。

「鍋谷なら何とかしてくれる」

前衛で、後衛で、そしてサーバーで
全日本の未来を背負い、躍動する。

待って、待って、待った末の現在。
努力があるから、今がある。

弾けろ、コートで。
今、全日本で開花宣言。