今年初の大会出場となった全日本女子バレーボールチーム。
初陣を飾ったワールドグランプリは6勝3敗:6位という結果以上に、鮮烈な印象をもたらした。

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6勝のうち、タイ戦を除く全ての試合がフルセットという驚異の粘りが印象深い。
特にブラジル、セルビア、オランダといった世界の強豪国を打ち破った試合は称賛に値する。

こうした粘り強い試合運びは、全日本ジュニアチームにも強い刺激を与えたことだろう。
3位決定戦のトルコ戦や準決勝のロシア戦の粘り強さには、やはりその影を見る思いだ。

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こうした粘り強さだけがクローズアップされていくが、第三次ラウンドからは特に、様々な試みがなされた。

対高さを意識した松本亜弥華選手の起用や、ミドルの動きも出来る石井里沙選手のスタメン出場。
そして、冨永、佐藤美弥選手という特性の違う二人のセッターを使い、変幻自在に試合展開を変化させた。特に高速コンビの申し子である佐藤美弥選手の速いトスは相手を攪乱するだけのスピードを持っている。

そして、冨永選手はアタッカーとしても攻撃参加する異色のセッター。

目下、この二人が全日本の司令塔を担う。

また、セットに応じて選手の入れ替えを効果的に行う「省エネバレー」を実践中。
外国との試合では激しく動きまわる日本が不利。

だから主力を入れ替え、また復帰させたり、試合を引っ張る古賀、新鍋選手を最終セット下げ、野本選手を第四セットの後半以降起用したりと、これまでやらなかった新しい試みをしている。

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恐らく、中田監督は久光の監督に就任する以前、全日本の解説者時代も含め、Ⅴリーグ時代で培った経験を踏まえ、温めてきたアイディアを試しておられるのだろう。

ある意味、中田監督は一番のプレイヤーであり、ファンでもある。
その気持ちが全面に試合に出ている。

中田監督は久光のバレーに拘っている訳ではない。

敵として闘った速いサーブのNEC。高速コンビの日立。そして競り合いに強い全員バレーのJTなど、Vリーグの各チームの良いところを引き出して闘っている。

残念ながら、今季は手術で棒に降ったが、ここに大野果奈選手の一人時間差が加わったらなどと想像してしまう。

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で、これは単なる予想にすぎないかもしれないが…。
今年の全日本は石井優希選手や宮下遥選手、佐藤あり紗選手など、キャリアと実績のある選手の起用が今のところ見られていないが、恐らくは新しい選手の方を先に試したい意向なのではないかと思われる。

サイドアタッカーは人数が多いので競争となるが、次のアジア選手権でも試されるだろう。
特に、中国、韓国との対戦は次のグラチャンへの試金石となる筈。

果たして、今年の最終的なラインナップはどのようになることか…。



さて、今年2017年は世界の代表チームの監督が入れ替わり、世代交代を迎えている。

・ワールドグランプリに参加した主要チームの監督交代


・オランダ
ジョバンニ・グイデッティ監督
(トルコ代表監督へ)

ジェイミー・モリソン監督

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・中国

郎平監督

An Jiajie監督


・タイ

キャテポン・ラッチャタギャングライ監督

ダナイ・スイーワチャラメータワン監督
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・トルコ
フェルハト・アクバシュ監督(日本のヘッドコーチへ)

ジョバンニ・グイデッティ監督
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・ロシア
ユーリ・マリチェフ監督

コンスタンチン・ウシャコフ監督
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郎平監督は手術をした影響で完治しないことから、2017年はコーチを務めていたAn Jiajieさんが代行する模様。

ジョバンニ・グイデッティ監督は代表チームとしてはこれまでドイツ、オランダの代表監督を務めてきた名物監督。世界中を股に掛けて歩くその立ち振舞いはバレー界のフーテンの寅さんさながら、バレー旅烏といったところ。

トルコリーグで無敵を誇るワクフバンクの監督としても有名で、現在、シュ・テイ、キンバリー・ヒル、教え子のロンネケ・スローティエス選手など世界有数のエースを抱える屈指の強豪チームを率いる。かつて木村沙織選手も在籍していた。

タイのキャテポン監督がどういう経緯で変更になったのかは存じないが、新任のダナイ監督はキャテポン監督時代のアシスタントコーチからの昇格。チームにも馴染みがある。

ロシアのマリチェフ監督はどうやら解任された様子。コンスタンチン・ウシャコフ監督は元ロシア代表セッター。ロシアのクラブチーム、ディナモ・クラスノダールの監督を歴任。


監督が変わればチームも変わる。
果たして、これが世界バレーの勢力図にどう影響してくるか、これから動いてくるだろう。