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装い新たとなった新生全日本。
指揮官は久光製薬スプリングスを連覇に導いた中田久美監督。

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目指すは実に56年ぶりの開催となる東京オリンピック。

東洋の魔女復活を託された指揮官は言う。
「国家プロジェクト」と。

これを機に、日本のお家芸を復活させる。
その腹づもり。

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新たな全日本のキャプテンに指名されたのは岩坂名奈選手(久光製薬スプリングス)。

個性派が揃う全日本キャプテンにあって、身長187cmのミドルブロッカーが、新星全日本の未来を司る。


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2年ぶりの全日本復帰は新鍋理沙選手(久光製薬スプリングス)。
ご存知、サーブレシーブの名手。
ロンドンオリンピック・銅メダリスト。

顔ぶれも大分変わった。

眞鍋政権から引き続き参加は、荒木、長岡、宮下、石井、島村、鍋谷、佐藤あり紗、内瀬戸、佐藤美弥、田中瑞稀、井上愛里沙選手などのメンバー。

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セッターはリオデジャネイロオリンピックメンバーの宮下選手と、冨永、佐藤美弥、田仲美咲選手の4名。

新たに、奥村、松本、石井里沙、堀川、野本選手、リベロに井上琴絵、小幡選手などが合流。

新たな全日本が、幕を開けた。


中田ジャパンはゆっくり目のスタート。
黒鷲旗と世界クラブ選手権終了後から始動。

1ヶ月間の長期合宿を経て、大事な初陣は恒例のワールドグランプリ。

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FIVB主催大会のうち、唯一の毎年開催。
格式は低いが、毎年グラチャンを含む4大大会の前哨戦として使われる長丁場。

若手選手の登竜門的大会だが、この年が最後。翌年からはネーションズリーグへと生まれ変わる。

ただ、この年のワールドグランプリは単なる前哨戦ではない。

大事な新生全日本の初戦。

期待と不安が入り交じる。

まず、第一次・オランダラウンド。

開幕戦は因縁浅からぬタイ。
前年のOQT同様、いきなりフルセットへもつれ込むも、内容的には日本がリードし、辛くも初戦白星を飾る。

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新体制最初のベストスコアは、次期エースへと期待の膨らむ古賀紗理那選手(NECレッドロケッツ)が23得点をマーク。久々の全日本復帰となるサウスポー・堀川真理選手(東レアローズ)も21得点と活躍を見せた。


続く第二戦の相手は、こちらも因縁深いドミニカ共和国。

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第一、第二セットを連取され苦しい展開の日本。途中出場の鍋谷、島村選手らの奮闘により1-2とするも、途中、停電による長い中断で流れを引き寄せられず1-3で初黒星。
途中出場の鍋谷選手が16得点と気を吐いた。



一勝一敗で迎えた第三戦、相手はこちらもまたOQTで熱戦を繰り広げたオランダ。

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欠場中のスローティエス選手に代わりプラク選手かエースを務める中、日本は第一、第二セットを落とす苦しい展開。第三セット、セッターを冨永選手に代えてからリズムが良くなり、フルセットに持ち込んでの大逆転勝利。古賀選手が22得点のベストスコアで勝利に貢献。第二セットから新鍋選手、第三セットから鍋谷選手が入り、劣勢をひっくり返した。

日本のフルセット伝説がここから始まった。


迎えた日本ラウンド。
佐藤美弥、内瀬戸真実選手の日立コンビが起用される。

初戦の相手はタイ、二回目の対戦。

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今度はホーム、前回の反省を活かし、第一セットを先制。第二セットを落とすも、以降は危なげなく獲り、3-1で白星。ベストスコアは新鍋選手。この日はライトで出場。以降、新鍋選手ライトでチームが安定。古賀、奥村選手の活躍も光った。


日本ラウンド第二戦。
相手はリオデジャネイロオリンピック銀メダルのセルビア。

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エース・ミハイロビッチ選手を擁する同チームに圧倒され、接戦に持ち込むもストレートの完敗。ベストスコアはラシッチ選手。
この試合では佐藤美弥選手が第二セット途中から起用。日本は古賀選手かベストスコアの15得点で奮戦するも及ばず。

だが、これが翌日に繋がっていく。


迎えた日本ラウンド第三戦・ブラジル戦。
日本はこの6年、ブラジルに公式戦で一度も勝っていない。ジャケリネ、シェイラ、タイーザ選手を欠くとはいえ、ナタリア、タンダラ選手など強力メンバー。

チームは昨日に引き続き佐藤美弥選手をスタートから起用。内瀬戸選手をレフト、新鍋選手を引き続きライトに起用、奥村選手をセンターに起用し、守備力とスピードで勝負する。

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第一セット序盤、ブラジルに先行される形から競り勝つと、続く第三セットも終盤縺れる形になりながらセット連取。一気に色めきだつ。
しかし、第三セット以降息を吹き返したブラジルにセットを連取される苦しい展開。迎えた最終セット、デュースにもつれる展開を、最後は内瀬戸選手が決め、実に6年ぶりの勝利に酔いしれた。

ベストスコアは新鍋理沙選手の22得点、21得点の古賀選手ともどもチームを牽引。内瀬戸選手は17得点、奥村選手は15得点と佐藤選手のチームメイトと嘉悦大学の先輩後輩コンビも活躍。大きな希望をみせた。


4勝2敗と手応えを感じながら迎えた第三次・香港ラウンド。

香港ラウンドでは松本亜弥華、野本梨佳選手が抜擢される。

初戦の相手はリオデジャネイロオリンピック金メダルの大敵・中国と対戦。

エース、シュ・ティ、エン・シンゲツ選手ら若く力のある陣容にどう立ち向かうか?

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この試合では早速、野本、松本選手と高さのあるメンバーがスタメン起用。日本は第三セットを30点を超える大熱戦の末奪うも、1-3で惜敗。ミドルブロッカーの島村選手が21得点と八面六臂の大活躍、野本選手も19得点、松本選手も新鍋選手と並ぶ14得点と申し分のない活躍を見せ、次への希望を繋いだ。


続く第二戦、セルビア戦。
ここではセッターを冨永選手にスイッチ。
デンソーの鍋谷、石井里沙選手が起用。石井里沙選手は初スタメン。

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初戦同様、第一、第二セットを奪われる苦しい展開。だが、第三セット、終盤、鍋谷選手かアタックにサービスエースに大活躍し、26-24で競りかつと、続く第四セットも序盤のリードを守りきり、フルセットへもつれ込む。

迎えた最終セット、6-8でセルビアリードから日本は古賀、鍋谷選手の活躍で15-12で獲り、またしても日本はフルセットでセルビアを下す殊勲の星をあげる。

この試合では鍋谷選手が26得点でベストスコア。この頃からスーパーサブの存在感が鮮明に現れる。


フルセット伝説が見え隠れしてきた日本。
決勝ラウンド進出云々が囁かれる中、最終戦の相手は大敵ロシア。エース・コシェレワ選手を欠くとは言え強敵。

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日本は鍋谷選手が引き続き先発出場。
この日も第一、第二セットを連取される苦しい展開。
しかし、第三セット、日本は佐藤美弥、内瀬戸選手の日立コンビを投入し、テンポの速いバレーボールを展開。内瀬戸、古賀選手のアタックなどで第三セットを25-20で奪う。
続く第四セットも終盤の競り合いで鍋谷、野本、島村選手を投入する総力戦で25-21で奪いフルセットへ持ち込むと、最終セット、野本選手を引き続き投入。中盤、冨永、佐藤美弥選手のサービスエース、鍋谷選手のアタック、岩坂選手のブロックなどで突き放し、最後は野本選手のアタックで15-10で勝利。
第三次ラウンドを勝利で飾った。

日本は決勝ラウンド進出の可能性を残していたが、ブラジルが踏ん張り、ワールドグランプリは最終順位7位で初戦を終えた。

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しかし、初陣としては6勝3敗の成績は申し分のないもので、ブラジル、セルビア、ロシアと大敵を下し、先行き明るいスタートとなった。(続く)



尚、本編とは別に特別投稿も用意しています。お楽しみに。