本稿では今年2018年、新たに加わる新戦力、或いは復帰組、故障でシーズンを棒に降ったなども含めた選手を紹介していきます。

第三回の今回はこの選手。
山岸あかね選手(上尾メディックス)です。 

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昨日掲載したFIVBのHPにアップされた「中田は日本に決意をもたらす」によると、

「全日本女子バレーボールチームがより若い世代にシフトチェンジをした間、中田は、少し円熟した世代のプレイヤーを選んだ。現在の全日本女子バレーボールチームのうち、1990年生まれから1993年生まれのプレイヤーは実に19人を占める」とある。

本日紹介する山岸選手も1991年生まれの該当世代。

所謂、キャリアを積んだ筋金入りの実力派ながら全日本で活躍することが出来ず、悔しい思いをしたきた世代。

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コートネーム:キラ

生年月日:1991/01/08

身長(cm)164.0

最高到達点(cm):283.0

サージャントジャンプ(cm):50.0

出身地:長野県須坂市

出身校・前所属チーム:
東海大三高校→東海大学

山岸選手は中学時代、全日本中学バレーボール大会で連覇を達成。東海大三高時代は春高やインターハイで活躍。同期には東レで活躍した小平花織選手がいる。
後に東海大に進学し、3年次に全日本インカレで優勝を果たしている。

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そんな山岸選手の卒業後の進路は上尾メディックス。

当時チャレンジリーグのチームだが、チームは常に上位。山岸選手が入団した2012/13シーズン、チームは優勝を果たすも、パイオニアレッドウイングスに敗れ、昇格を逃す。しかし、その翌年となる2013/14シーズンも17勝1敗の好成績を収め準優勝。JTマーヴェラスを破り、念願のプレミア昇格を果たしている。

上尾は伝統的に良いリベロが活躍。当時のレギュラーは関舞選手。チャレンジリーグのサーブレシーブ成功率ランキングで1位を獲得している。

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山岸選手が全日本からお声が掛かったのは前後して2013年。第二期眞鍋ジャパンの始動に際し、山岸選手もその一員として名を連ねる。同年7月のエリツィン杯、ユニバーシアードにも出場。10月の東アジア競技大会にも出場し、銀メダルを獲得している。

上尾メディックスは2014/15シーズン、マーフィー、荒木絵里香選手を擁する強力な布陣で健闘し、山岸選手もレギュラーリベロとして活躍。ニューカマーながら見事ファイナル3進出を果たす。ファイナル3ではNECレッドロケッツに敗れるも、初年度ながら堂々の3位を獲得する健闘を見せた。

ところが…。

二シーズン目を迎えた上尾は、勝ちきれない試合が増えた。手の内が読まれてきたこともそうだが、ネックはサーブレシーブ。
山岸選手はリーグ7位の成功率でもりたて、試合内容は決して悪くないのだが、終盤負けが込み、まさかの最下位に転落。

チャレンジマッチでは因縁のJTマーヴェラスに二戦ともストレートで敗れ、チャレンジリーグから出直しとなった。

プレミア復帰を目指す上尾。
チームは世界最高到達点330cmを誇るカルデロン選手を迎える。

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チャレンジリーグⅠに敵はなく、デンソーとの一騎討ち。山岸選手はサーブレシーブ成功率ランキング4位の好成績でチームに貢献。この年上尾は20勝1敗の好成績を収めながら、デンソーとの一戦でのストレート負けが響き、僅か1ポイント差で2位となる。しかし、この成績により岡山シーガルズとのチャレンジマッチに挑む。

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初戦1-3で落とし黄信号が点滅する中、セッター冨永選手はカルデロン選手にトスが集まり過ぎた反省を活かし、トスをちりばめ第一、第二セットを僅差で連取。山岸選手も前日崩されたサーブレシーブを絞め直し、なんと90%の脅威のサーブレシーブ成功率でコートを死守。起死回生のストレート勝利で上尾は僅か1シーズンでプレミア復帰を果たした。

プレミアに復帰した上尾はカルカセス選手をエースに迎え、開幕戦にてデンソーを破り白星スタートを飾ると、3勝1敗と順調な滑り出しを見せる。しかし、中盤以降、カルカセス選手以外の得点力とサーブレシーブがネックとなり失速する中、山岸選手は守りの要として奮闘。しかし、体制が固まってきた東レと入れ替わるように7位に低迷。
それでも、ファイナル6進出へかすかな望みを繋ぐべく、レギュラーラウンド終盤連日熱戦を展開。
日立にストレートで勝ち、ファイナル6進出に望みを繋いだ上尾。取り分け秀逸だったのはNECレッドロケッツとの一戦。

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第一、第二セットはNECが先取。
しかし、第三セット、上尾は捨て身の攻撃に出る。
エースのカルカセス選手を下げ、辺野喜選手を投入。この背水の陣が功を奏し、第三セットを奪うと、第四セット24-24のデュースにもつれ込む。上尾はカルカセス選手を再び投入。ピンチサーバー山口選手のサーブで崩してカルカセス選手のアタックが決まり、31-29で上尾が獲り、フルセットへ。
迎えた最終セット、上尾はカルカセス選手を投入。NEC8-6とリードするも、上尾は終盤逆転し14-10とマッチポイント。最後はカルカセス選手のアタックで15-11で上尾が、2017/18シーズンに名を残す大逆転劇で、最終戦に望みを託す。

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しかし、最終戦の相手はレギュラーラウンド全勝が懸かる首位の久光。

ここまで総力をあげての闘いも、戦力差は如何ともし難く、気力にも限りがあった。
この試合でストレート負けを喫した上尾は最終結果7位でシーズンを終えることとなった。

しかし、シーズンを闘い抜いた山岸選手には大きなプレゼントが待っていた。

約5年ぶりの全日本復帰である。
サーブレシーブで苦しむチームを孤軍奮闘してきた守護神の活躍が認められたのだ。

かくして上尾の守護神は、再び、世界と闘うスタートラインにたった。 

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勿論、ここからが本当の勝負。
だが、何年も掛けて磨き抜いた技術は嘘を付かない。

付け焼き刃ではない、筋金入りの技を持って闘いに挑む。

バレーボーラーなら誰もが夢見る全日本の舞台へ、そして東京に剥けて。

山岸選手のチャレンジが始まった。

誰もが心の内に秘める
「私こそがナンバーワン」

そのプライドに懸けて、今はただ、日々を全力で駆け抜けるだけ。