昨年のVプレミアリーグで低迷したのはプレミア復帰の上尾メディックス(表記は当時)と日立リヴァーレ。

冨永こよみ、佐藤美弥選手と、皮肉なことに全日本で活躍したセッターのチームが奮わなかった。

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冨永選手は今季の全日本では本領発揮とはいかず、世界選手権では二枚換えで出場。
イタリアのセリエAへレンタル移籍することが決まり、今季、怪我で出番の少なかった佐藤選手は、まず、所属する日立リヴァーレのキャプテンとして、チームを建て直すことが先決となった。

ともに、出直しのシーズンとなる。


その埼玉上尾メディックス。
冨永選手がいなくなったことで、控えセッターだった二人にチャンスが回ってくる。

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冨永選手はセッターのみならずサーブ攻勢の要であり、時にはアタッカーとして攻撃参加する貴重な存在。

候補は二人。

井上美咲選手。
愛知学院大学を卒業して入団三年目。
170cmの大型セッター。

もうひとりは山崎のの花選手。
黒後愛、堀江美志、山口珠理選手らを擁した下北沢成徳を支えた174cmの大型セッター。
埼玉上尾は、二人のセッターの独り立ちにより、新たなシーズンを迎え、乗り切らなくてはならない。

埼玉上尾のアキレス腱は大きく二つあった。

まず、外国人選手に得点が偏り過ぎていたこと。そして、サーブレシーブに難があること。

概ねこの二つ。

ストロングポイントもある。
優秀なミドルを複数人抱えていること。

全日本でも活躍した松本亜弥華選手。
日本に帰化した中国人選手。
188cmの長身と最高到達点は実に317cmと群を抜いている。

キャプテンの丸山裕子選手。
身長は176cmとミドルとしてはやや小柄だが、最高到達点は301cm。
機動力が武器。

チャレンジリーグでサーブ賞を獲得したこともある青柳強古選手。こちらも182cmの長身。最高到達点は302cmと全日本選手並みの身体能力を誇る。

昨年からサーブレシーブもこなし、ライトとしても起用されるマルチプレイヤーは三浦茉実選手。182cmの長身と最高到達点307cmと全日本選手並みの身体能力を誇る。
課題は得点力の向上。

更に、アジア枠を利しての新戦力が加わる。
フィリピンから加入のミドルブロッカー、サンディアゴ・アライジャ選手。195cmの長身と最高到達点319cmの高さは脅威。


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上尾のサイドの中心は荒木夕貴選手。
明るい人柄で主にレフトとして入り攻守の要。

今年はここに、強力な助っ人が加わる。

まず、攻撃の軸となる外国人選手としてクロアチア代表のカタリナ・シュシュニアル選手。194cmの長身から、最高到達点320cmの高さから繰り出すアタックは大きな武器。エースとしての活躍が期待される。

そして、チャレンジリーグで毎年タイトルホルダーに輝いてきた異彩を放つ存在と言えば佐藤優花選手。

トヨタ自動車ヴァルキューレを退団し、埼玉上尾に加わった。サーブレシーブもこなすが特長は何と言ってもその非凡なアタックセンス。昨年のチャレンジリーグⅠの得点王。
埼玉上尾の新たなポイントゲッターとして期待が懸かる。


また、このチームは、下北沢成徳OGが複数人所属している。

冨永こよみ選手もその一人。

伸び盛りのサイドアタッカー。


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先のアジアカップでも活躍した堀江美志選手と山口珠理選手。
同期の二人は主にルーキーイヤーの昨年、ライトのポジションで活躍。
今年はレギュラーを狙う。

後輩の椎名真子選手は今年ルーキー。ウイングスパイカー登録だが、ミドルとして使う意向あり。

岩澤実育選手はリベロとして加わる。

今年は高卒ルーキーが増え、チームが若返った。

盛岡誠桜高校から入団の佐々木海空(みく)選手、大和南高校からは若松歩実選手、由利高校出身の吉野優理選手。

ともに次世代を担うウイングスパイカー。

人は揃ってきたが、あとはチームの熟成。
特にセッターは今季からレギュラーとなるだけに如何にチームを固めるか、まずはそこが焦点。



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東で再起を図るのは、昨年最下位に沈んだ日立リヴァーレ。 
 
日立は超高速コンビバレーを掲げ、3年前準優勝、一昨年3位と一定の成果を収めてきた。

松田監督退任後、甲斐監督が昨年から指揮するも、それまで1位だったサーブ効果率、サーブレシーブ成功率がともに最下位に下落。

チームは低調のまま最下位に沈んだ。
菅原総監督が復帰してのテコ入れ。
勝負の年である。




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主将は引き続き佐藤美弥選手。
長らく日立の司令塔を務めてきた。
持ち味は速くて正確なトス回し。

セカンドセッターは小野寺友香選手。
春日部共栄高校出身。同期に高校時代からのチームメイト・間橋香織選手。
キャリアを積んで、ようやく開花が近い。

間橋選手の特長はパンチあるスパイク。
これまでライトで起用されることが多かったが、サーブレシーブの向上でレギュラーを掴みたい。

共栄コンビが揃い踏みで活躍する日は近い。

その共栄の大先輩がチーム最古参となった遠井萌仁選手。
ライトのレギュラーを務める攻守の要。
サーブレシーブには定評がある。


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エースは今年レギュラー2年目の長内美和子選手。アジアカップではエースとして活躍。ベストアウトサイドヒッター賞を受賞。
バックアタックも得意。
サーブレシーブの向上で攻守の要として更なる飛躍をしたい。


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今季副キャプテンとなった渡邊久惠選手。
元気さとパワフルかつスピーディーなアタックがセールスポイントだが、手首の故障に悩まされ、昨年は不本意なシーズンとなった。

今季、チームの再起を請け負う副将として復活が望まれる。


これからレギュラーを狙う選手は沢山いる。

TEAM COREの一員として名を連ね、最高到達点304cmの高さから繰り出すパンチ力あるアタックに定評のあるオクム大庭冬美ハウィ選手。

次期エース候補。


攻守に渡り冴えを見せる窪田美侑(みゆ)選手。大学時代は嘉悦大学のキャプテンとして全日本インカレでチームを3位に導いた。

ライトのレギュラーを狙う。


そろそろ出番を増やしたい土井さくら選手。
2013年には全日本シニアにも招集されている。大学時代の大怪我から復帰。
サマーリーグではフレッシュスター賞も獲得している。

日立入り後は大きな怪我もなく順調に来ている。あとは出番を増やしていくことだけ。


高校時代は福井工大福井のエースとして春高でも活躍した上坂瑠子選手。
先輩はあの清水邦広選手。

アンダーカテゴリーでも活躍し、サーブには定評があるパスヒッター。まずは出場機会を増やしたい。


日立復活請け負い人として加入するのはラウラ・ヘイルマン選手。ベルギー代表のミドルブロッカー。

186cmと外国人選手としてはやや小柄だか310cmの高さから繰り出す速い攻撃とブロックが期待される。

対角のミドルは芳賀舞波選手だが、戦線を離脱中。開幕に間に合うかは微妙。

白羽の矢が立つのはルーキー・入澤まい選手。こちらも春日部共栄高校出身のミドルブロッカー。
187cmの長身と最高到達点309cmは全日本クラス。攻撃力とブロックに磨きを掛けてまずはレギュラー獲りへ。

芳賀選手不在を受けて、緊急的にミドルにコンバートされているのはチーム二年目の堀井有蘭選手。仙台から移籍して二年目。出番を増やしたい。
そして、ルーキーの巻口明日香選手。
元々サイドアタッカーだが、180cmの長身ということもあり、ミドルブロッカー登録されている。


全日本でも活躍した佐藤あり紗選手の退団を受け、リベロも今季から二人のプレイヤーが競争となる。

齋藤加奈子選手。
東北福祉大学出身で渡邊選手の後輩にあたる。今季はレギュラーリベロとして活躍が期待される。

昨年はレシーバーとしての起用が多かった小池杏菜選手。金蘭会高校出身。宮部藍梨選手の2歳上にあたる。

この両名が日立のコートを死守する。


サマーリーグ優勝、国体準優勝とチームに勢いが出てきた。

まずはサーブとサーブレシーブの閉め直しが先決だが、チームが若返ったので体制を早めに固めたい。渡邊選手の復帰が長引く場合、間橋、オクム選手が長内選手の対角に入る布陣も考えられる。


埼玉上尾と日立。
この2チームは巻き返しを図る同士だが、大型補強という点では埼玉上尾。
ともに若い力が増えたが、すぐに結果が出るかどうかは、この夏の成果次第。

そして、全日本からいつお声が掛かっても不思議のない選手が沢山いるということを、改めて実感する。


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今をときめく井上琴絵選手にしても、2016年の段階では、自分が全日本で活躍している姿
を想像出来なかった筈である。

全ては結果次第。活躍次第。

だから、V-leagueシーズンの闘い
重要なのだ。