不安だらけの東京オリンピック。
開会式は23日だが、競技は今日から始まる。
全日本男女共に選手村に入った。

後はコンディション調整程度のことしか出来ない
まな板の上の鯉の心境。 

あとは公開練習の時間だけ。

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中田ジャパンの評価は難しい。

5年間で獲ったタイトルはアジア選手権ひとつ。
それも初年度。
 
一応、表向きは2019年のアジア選手権も優勝で連覇したことになっているが、こちらは全日本Bチーム。

その時の監督が次期全日本監督と目される相原昇コーチ。

陣頭指揮は今季からだが、高校バレー屈指の名監督で、就任一年目で早くもU-20の世界チャンピオンとなり実績でもひけを取らない。

ネーションズリーグでも監督が二人いる状態だが、実質、相原コーチが指揮を執っている。

東京オリンピックの結果次第ではすぐにバトンタッチの可能性が高い。そのための入閣だろう。


正直、2020年の体制のままだと玉砕しか見えなかった。それは陣営も自覚しており、今年、思い切って若返りを果たした。

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新鍋理沙、佐藤美弥、岩坂名奈選手らが引退したのも大きいが、それ以上にこれ以上引っ張ってもチームとしての伸び代に疑問を持ったからだろう。

もし、あのままの体制を続けていたら、パリオリンピックの体制はほぼ総入れ替えに近くチーム編成が大変である。

そういう意味では思い切った若返りである。

ただし、残された時間が限られていたこともあり、ネーションズリーグではほぼメンバー固定で闘い、レギュラーと控えとの差がくっきりし過ぎていること。本番前のテストとしてはやや疑問に映った。

また、レギュラー陣の疲労も気になる。

勿論、相応の効果もあり、古賀、黒後、石川選手のトリプルエースが確立。今年ラストチャンスでネーションズリーグのメダルに手が届く寸前まで迫るも、決勝ラウンドではブラジルとトルコに粉砕されて4位止まり。

やはりトップクラスとは格差がある。

それもアメリカにストレートで負けているトルコに惨敗では、正直、明るい兆しは少ない。

短い期間でどう起動修正するか、そこが課題。


今回はセッターとリベロについて触れてみる。

中田監督は籾井選手一本で行く姿勢をネーションズリーグでは見せたが、さすがに本番では一本調子という訳にはいくまい。

田代選手は主にリリーフサーバーと二枚換えでの起用が殆どだったが、この二人をどう使っていくか?

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籾井選手176cmの長身セッター。アンダーカテゴリーでは国籍の問題で出場しなかったが、名門・八王子実践からJTマーヴェラスに入部。ルーキーからレギュラーを務め、二連覇に貢献。その中心にいる選手。本来ツーアタック多めの攻撃的セッター。高さもありブロックも得意。

課題は国際大会での経験が不足していたこと。それを踏まえてのネーションズリーグでも抜擢である。

時間が限られているので、コンビを中心にどこまで詰められるか? 若さと成長力に期待したい。


田代佳奈美選手はリオデジャネイロオリンピックの出場経験もあるベテランセッター。2018世界選手権ではレギュラーとして活躍し、日本の第三次ラウンド進出と5-6位決定戦進出の原動力となった。

過去5年間の中田ジャパンにおけるベストパフォーマンスは田代選手当時とされる。配球の上手さには定評があり、本来ミドルも積極的に使う。

この二枚で東京オリンピックを闘う。


リベロは今や全日本の中心たる小幡真子選手。
こちらもJTマーヴェラスのキャプテンとしてチームの連覇に貢献。コート内外の声だし、指示も含めキャプテンシーが素晴らしく、本分は安定したサーブレシーブとガッツプレイ。

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ディグ職人の井上琴絵選手との争いを制して初のオリンピック出場を果たす。

チームを鼓舞し、具体的な指示を送る上でも欠かせない存在で同チームの籾井選手にとっても心強いことだろう。



さて、前回は決勝ラウンド進出の皮算用について触れたが、決勝ラウンドの準々決勝が中国やアメリカでは厳しい。

正直、まだアメリカなら辛うじて可能性があるが、中国が相手なら万事休すだろう。

何しろ、ネーションズリーグの後半、本気を出した中国がフルメンバーでアメリカと闘い、ストレートで粉砕している。

このチームに勝てそうなのは、高さと攻撃力でひけを取らないイタリアとセルビアあたり。


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今のアメリカは最強ではない。
高さの違いはあれど、頭脳と戦略を以て闘う日本に近い。

やはり鍵はサーブ。
アメリカはサーブレシーブが少々崩されてもスタンディングジャンプで軽々アタックを決めてしまう。

が、まともにサーブレシーブされるよりはブロックする、ワンタッチを取る可能性が増える。

かつて日本がワールドカップ2011でブラジルとアメリカを破った時もサーブが鍵となった。

どうやってアタッカーを機能されないか、こちらの駆け引きも鍵となる。

具体的にはドリューズ選手。

ライトから打ってくるアタックの殆どはクロス。
相手ブロッカーが慣れてきてストレートを増やすというコンビネーション。

なるべく早いブロック指示と駆け引き。
ブロックアウト多めなら手をひくなど狂わせることが課題。

後はレフトとミドル。

バーチ・ハックリー選手とラーソン選手。
ともにさほど大きくはないが、攻撃の中心。

スピードを主体とするエース級をサーブで攻め、ディグで拾わせ、ブロックで仕留める、ワンタッチ取ってのトランジション。

狙いはそこだろう。

あとはヒル選手とミドル陣。

特にブロード。
ストレート方向は捨てて、クロスを締める。
基本的な考え方はこれで良いかもしれないが、ブロードで振り回されると苦戦する。


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それはアキンラデウォ選手が国内ではほぼ無敵状態だったことでも立証される。

他国のブロード対策。
これはひとつの鍵ともいえる。
特に欧州勢との対戦ではこのブロード対策がかなり重要でサイド以上に失点するケースが顕著。

いずれにしても、希望は準々決勝で中国以外と当たること。

これがメダルへのマストと考える(続く)